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ニュース2024.11.7
【帰朝報告:中川】アメリカ合衆国・シアトル(2024年9月11日~14日)
2024年9月11日~14日まで冨永 悌二 総長、張替 秀郎 理事・副学長(医療・共創戦略担当)、山口 昌弘 副学長(教育改革・国際戦略担当)の随行でシアトルに行ってまいりました(ウェブサイト参照https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2024/09/news20240919-washington.html)。
9月12日に午前はAWS(写真1)を、午後はHarborview Medical Centerに張替秀郎理事・副学長とともに訪問し、Department of Anesthesiology and Pain Medicine、Harborview Medical Center, University of Washington教授の南立宏一郎先生にご案内いただきました。夜は世界的に著名な脳外科医であるワシントン大学神経外科教授のSekhar先生、そして、Department ChairmanのEllenbogen先生、また、血管内治療のLevitt 教授といろいろお話しでき良い時間となりました。以前、東北大学脳神経外科に留学していたShenoy先生もいらっしゃっており、楽しい時間を過ごしてきました。医療以外では、米国ワシントン州政府商務省で、本学の国際連携推進機構特任教授の江藤哲郎先生、ワシントン大学工学部名誉教授で本学の国際連携推進機構特任教授(客員)の大内二三夫先生をはじめ、シアトルでご活躍の先生方とお目にかかり、シアトルがなぜ発展してきたのか、東北大学、東北大学病院が学ぶべき点が多々あり、大変勉強になりました。
ここでは、医療を中心にご報告させていただきます。

ハーバービュー医療センター
シアトルにある公立病院で、ワシントン州で唯一のレベルIの成人および小児外傷および火傷センターを有しております。キング郡が所有し、UWメディシンが運営しております。ワシントン州だけでなく、アラスカ州、アイダホ州、モンタナ州にもサービスを提供している。
2020年、キング郡の有権者はハーバービュー医療センターの拡張と近代化のため、17億4000万ドルの債券法案を承認した。このプロジェクトには、既存の建物の耐震補強と、360室のシングルベッドルーム、ヘリポート、より近代的な設備を備えた10階建ての新しい建物の建設が含まれている(写真2)。

メディックワン「MEDIC-ONE」
ハーバービューは、米国初の救急医療対応プログラムの 1 つであるメディック ワンの設立に尽力しており、ワシントン州の救急医療技術者の多くは、この病院で訓練を受けています。公的救急機関「MEDIC-ONE」は、緊急性の高い疾患や外傷を負った市民のための救急車であり、緊急性の低い患者は原則として対象としていません。シアトル市内には7隊の「MEDIC-ONE」があり、911番通報により出動します。現場に到着後、緊急度が低いと判断された場合には、一緒に行動している消防隊に後を任せ、「MEDIC-ONE」は一足先に現場を引き上げ、速やかに次の出動に備えます。
残った消防隊は、緊急性が低い旨を患者に説明し、民間救急機関「AMR」による医療機関への搬送を希望するかどうかを患者に確認します。希望した場合には、消防隊から民間救急隊を要請し、引き継ぎを行った後、現場を引き上げます。また、「MEDIC-ONE」には病院間転送搬送という業務はありません。そういった業務はすべて「AMR」に任せています。
エアリフトノースウェスト
アラスカ州シトカで起きた悲惨な住宅火災で3人の子供が亡くなった後、当時ハーバービュー医療センターとメディックワンの救急サービス責任者であったマイケル・コパス博士は、1982年にこの地域で最初の航空医療輸送サービスを設立しました。ワシントン州、ワイオミング州、アラスカ州、モンタナ州、アイダホ州から年間 3,600 人の患者を輸送しています(写真3)。

遠隔医療訪問(telemedicine visit)
遠隔医療では、UW Medicine の医療提供者にビデオを通じて直接診察と同等の医療サービスをプライマリケア、緊急ケア、専門ケアいずれも受けることができます。殆どの保険プランでカバーされており、急性治療(病気、怪我、感染症など)、行動健康、慢性疾患、フォローアップケア、投薬管理、妊娠、手術前評価、プライマリケア検診、医師による検査結果説明などさまざまなものが対象となっている。
地方医療の課題解決 WWAMI
1971年アラスカ大学フェアバンクス校と提携し、アラスカ州フェアバンクスに9人の学生とともにWAMIとして設立してから50年以上の歴史がある、ワシントン大学医学部の複数州医学教育プログラムです。WWAMIはワシントン大学医学部の MD および大学院医学教育 (GME) プログラムがサービスを提供する州 (ワシントン、ワイオミング、アラスカ、モンタナ、アイダホ) の頭字語です。UW家庭医学レジデンシーネットワークには、5 つの州にわたる 33 のプログラムがあります。プログラムでは、5 つの州全体の住民が公的な医学教育を受けられるようにするとともに、卒業生がプライマリケアや家庭医療のキャリアを選択し、医療アクセス問題が深刻な米国北西部の都市部以外の地域で診療を行うことを奨励している。WWAMI の卒業生の 50% 以上がプライマリケア医になり、多くが地方での診療を選択しています。教育にあたり、WWAMI州内の教授、医師、大学、医学会、協会、地域健康教育センター、病院、診療所などステークホルダーと広く提携している。
9月14日
東北大学病院 臨床研究推進センターバイオデザイン部門長
東北大学副理事(国際共創担当)
東北大学病院教授(産学連携室:Experience Design and Alliance Section EDAS)デザインヘッド)
中川敦寛