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活動報告2026.6.3
スタンフォード大学 池野 文昭 先生「医療政策から見るイノベーション創出戦略 —日米比較から読み解く成功の鍵—」を開催しました
5月20日(水)18:00-19:00、今年度第1回目の未来型医療創造卓越大学院プログラムFM DTS 融合セミナー(共催:臨床研究推進センターバイオデザイン部門)スタンフォード大学 医学部 主任研究員 / MedVenturePartners, Inc 取締役チーフメディカルオフィサー 池野 文昭 先生の講演会をオンラインにて開催致しました。
今回の講演では、「いかに医療イノベーションを起こすか」という観点から、政策と医療イノベーションの関係をお話しいただきました。また、日米比較を通じて、日本の持つ政策面の強み・弱みを整理し、医療イノベーションを創出する上で日本が今後取るべき手立てをご提言いただきました。
はじめに、政策は、5つのレバー(課題定義、規制・審査、エビデンス・データ、支払い・償還、実装・普及)で医療イノベーションを動かすことをお話しいただきました。この5つのレバーが揃うことで、技術が「研究」から「制度化された価値」へと変わり、社会実装に向けた成果の数値化と数値に基づくコントロールが可能となります。医療業界は産業界の中でも最も数値化されていない業界であると言われており、数値化・標準化を可能にすることが今後の大きな武器となるそうです。
続けて、日米の医療政策を比較し、それぞれが持つ強みをご紹介いただきました。米国は、民間の支払い主体の連動性の高さや、規制の予見性、ハイリスク・ハイリターンなプロジェクトへの投資と伴走を背景とした、迅速な市場化を強みとして持っています。これに対して、日本は、皆保険に基づく高い公平性や、着実な現場実装、ケアの持続性を強みとして持っています。また、医療・介護・福祉などの他領域間の連携が弱く、横断的事業がサービス化しにくい弱みがあるそうです。
最後に、医療イノベーションの創出のために日本がとるべきアクションをご提言いただきました。日本は現在、世界に類を見ない超高齢化社会が到来し、これは、世界の未来を先取る形となっています。これを踏まえ、医療・介護・福祉・予防・Well-beingを繋ぐ制度設計による日本独自の実装モデルを構築し、その有効性を証明して世界での市場化を目指すべきであると提言いただきました。更に、政策を個別の支援策の組み合わせではなく、「何が育つかを決定する設計図」として包括的に組み直し、政府・規制当局・大学病院・スタートアップ・自治体といったステークホルダーが同じ設計図上で協働する必要があるとお話しいただきました。
政策を医療イノベーション創出の内部条件として捉えるという新鮮な視点に触れるとともに、他国との比較を通じて見える日本の政策面の強みを十分に活用した医療イノベーション戦略を考えるきっかけにもなり、学びの多い時間となりました。
本講演会は、卓越大学院プログラムに参加する学生の他、企業の方を含む幅広い領域から学内外499名の方々にご参加いただきました。
池野先生、ご講演いただきありがとうございました。

文責:教育学研究科博士課程前期2年 久保田智天
