事例紹介
CASE05研究報告
感染対策を進化させる!
東北大学と株式会社モレーンコーポレーションの
共同研究による紫外線照射除菌の新たな可能性
株式会社モレーンコーポレーション
2024.12.23
新興・再興感染症や耐性菌問題に向けた感染対策の進化
新型コロナウイルス等の新興感染症やグローバルで深刻化している耐性菌(AMR)問題など、日本の医療現場における感染対策には、現在、課題が山積しています。更にその医療現場においては、汚染された高頻度接触面は交差感染拡大の懸念のひとつとされ、近年はその対策として紫外線照射が有効な手段として注目されています。紫外線(UV-C)照射は広範囲かつ短時間で環境に対して効果的に除菌ができる一方で、紫外線(254nm)の人体への有害作用のため、照射の際には無人及び人体に影響しない設備が必要となリます。 東北大学病院で感染対策を専門とする医師と株式会社モレーンコーポレーションは、共同研究により、人体に有害な作用をもたらすことなく効率的に紫外線照射を行う方法として、同社が開発した紫外線遮蔽反射ユニット「UVCコンテイメントユニット(UVCCU)」と紫外線照射ユニット「UVDI-360」を組み合わせて、ある一区画、例えば多床室の一つのベッド及びその周辺環境のみを遮蔽して紫外線照射する可能性を模索しました。研究を行うにあたり、リアルタイムで稼働している病室やベッドを使用することは難儀であることから浮上したのが東北大学病院オープン・ベッド・ラボ(OBL)の活用です。OBLは医療現場に近い環境で、医療プロフェッショナルと企業が新たな医療機器やシステム・サービス等の研究・検討するテストサイトとして利用できる施設です。
OBL:リアルワールドを再現した環境での試験が可能に
OBLの活用により、現実の多床室の一つのベッド周辺(ベッド、ベッド柵、テーブル、ロッカーなど)の環境を実にリアルに再現できました。東北大学病院内の施設ですから、共同研究の先生方にも照射現場に立ち会っていただくことが可能でした。 本研究の結果は、国内学会での発表を経て、海外のwebジャーナルに掲載することができました。OBLから発信したこの“進化した感染対策”を新たな可能性の一つとして、感染対策に日々取り組まれている多くの医療プロフェッショナルに紹介していきます。
論文発表
- Shiori Kitaya, Kentarou Takei, Yoshitomo Honda, Risako Kakuta and Hajime Kanamori Enhanced Effect of Patient Room Disinfection Against Carbapenem-Resistant Enterobacter cloacae and Methicillin-Resistant Staphylococcus aureus Using UV-C Irradiation in Conjunction with UV-C Containment Unit
- https://www.mdpi.com/2079-6382/13/12/1115
※2024年12月時点の内容です。